マフラー承認の巻
さぁ、今年最後の大イベントである。
久しぶりにウキウキ、ワクワクしながらいつもの整備工場へ
マフラーの交換に行ってきた。
例の如く、車オンチの私は、
リフトに上がったエイトの下周りをウロウロして観察したり
作業中に色々質問したりと、さぞかし迷惑だったと思うが、
ココの人達は大変優しいです。
いつもアホな事言ってすみません。感謝です。
で、取り付け完了後、早速エンジンを始動するが、
ほとんどノーマルと変わらない音量、音質。
メカさん心配になってちょっと吹かしてみると、ぶぉ~んと本領発揮。
3000回転までは、ほとんどノーマルと変わらないが、
それ以降はGOODなサウンドを奏でます。
いや~、素晴らしい、これぞ私の求めていたマフラーだ。
「これなら、奥さんにも文句言われませんね」
と、メカさんにもお墨付きを貰い、家に帰った。
帰宅すると、毎度の事ながら、
コタツの中でゴロゴロとキテレツのビデオを鑑賞してる嫁。
何が面白いのか私にはサッパリわからないが、
おかげで私もかなりのキテレツ通になってしまった。
世界中の何人のオッサンが
「勉三さんの彼女はスッチーです」
と言い切れるだろうか?
少なくとも私は胸を張って言えるレベルだ。
オッサン限定のキテレツ選手権があったらブッチぎりで優勝だ。
ちなみに「ブタゴリラ」というあだ名は、冷静に考えるとヒドイと思われる。
「ブタ」だけでも結構キツイのに、更に「ゴリラ」が加わるのだ。
自分に息子がいて、友達から「ブタゴリラ」と呼ばれているのを耳にしたら
多分、ショックである。
さて、そんな嫁を無理やり駐車場へ連れて行き、
嫁が1番気にしているマフラーの静寂性について胸を張って説明する事にした。
私「どうだ。全然うるさくないだろう?。参ったか?ん?」
嫁「ナニを参ったのか知らないけど、とりあえず静かだね」
私「そうだろう?じゃ、ちょっと走りに行ってみようか?参ったか?ん?」
嫁「だから、ナニを参ったのか知らないけど、行くよ」
私は極力回転数を上げぬよう、静かな運転を意識してエイトを走らせる。
私「どうだ、どうだ!。走っても静かだろう?参ったか?ん?」
嫁「まぁ、静かだけどさ」
私「ハッハッハ、どうだ?参ったか?ん?」
マフラー交換がかなり嬉しかったのだろう。
調子に乗って「参ったか?ん?」を連発する私に嫁が多少イラついているようだ。
嫁「あのさ~、静かなのはいいけど、だったら何で交換なんてしたのよ?」
アッ、しまった・・・。
あまりにも静寂性を強調しすぎた為に、今更回転数を上げて
「ほらっ、我家のエイトは、こんな暴れん坊の一面も持ってます」
とは言い辛くなってしまった・・・。
私「イヤッ・・・、まぁ・・・、それは男のロマンだから・・・」
嫁「こんな何も変わらないんじゃ、無駄遣いもいいトコよ」
無駄遣いと言われカチンときた私は暴言を発してしまう。
私「ナニ言ってんだ。オマエのバックの方がよっぽど無駄遣いだ」
バックの事を言われたのが、よほど頭にきたのだろう。
このセリフをきっかけに、嫁のイライラは増殖していく。
嫁「コレじゃ意味ないじゃん、まったくもぉ、返してきな!」
私「返すって・・・、そんな事は無理だ」
嫁「じゃあ、売ってくれば?」
私「イヤ・・・、ソレは・・・」
嫁「さぁ、どうするのよ?」
私「ん~・・・、そんなに言うなら仕方がない・・・、ちょっとスピード出すぞ」
嫁「えっ?」
私はギアを落とし、一気に7000回転近くまで回す。
ぶぉ~~~~~~~ん。
やぁ、こんにちは暴れん坊エイト、さようなら優等生エイト。
私「ハッハッハ、どうだ?参ったか?ん?」
嫁「ナニよコレ?参ったかじゃないわよ。全然話が違うじゃないのよ」
私「君が静かだと気に入らないみたいだから、うるさくしただけだが?」
嫁「うるさくないって言うからマフラー買うの許したんだよ」
ココでアクセルを戻し、ニヤッと笑って、こう言い放ってやった。
私「ほらっ、今はうるさくないだろ?静かなもんじゃないか?参ったか?ん?」
嫁「・・・」
ハハハ、珍しくヨメレンジャーが「私の負けだわ」というような顔をしている。
HKSのLEGAMAXが私に勝利をもたらすのか?
ヨメレンジャーよ「参った」と言え。
「参った」と言えば過去十数年においての貴様の無礼を許してやってもよいぞ。
私「どうだ?参ったか?ん?」
嫁「・・・」
私「何とか言わんか?ん?」
嫁「・・・」
私「どうした?悔しいのか?ん?」
嫁「・・・」
アッ・・・。無視されてる・・・・・。
なぜ今、スカートの網目の柄を数える必要がある?
しかも私が問い掛けても目も合わせようとしない・・・。
なんという卑劣な技だ・・・。
スカートの網目の柄を数えたって、この先の人生で
何の役にも立たない事はわかってるはずだ。
それをあえてやるのがヨメレンジャー。
理屈なんぞ通用しないのだ。
このまま放っておけば、家事もせず、食事もせず、風呂も入らず、
一生、スカートの網目の柄を数えているに違いない。
冷静で非常に賢い私は、早期に解決すべきと、必殺技を出す事にした。
私「あっ、あのっ、そのっ、なんと言うか・・・、そのっ・・・、ゴメンナサイ・・・」
嫁「フンッ、分かればいいのよ」
私「ハイ・・・、スミマセン・・・」
屈辱である・・・。
何に対して謝ったのか、何に対して「分かればいいのよ」と言われたのか
まったくもって理解できないが、
彼女の今後の人生が、スカートの網目の柄を数え続けるだけになるのは
避けられたようである。
ちなみにそれ以降、マフラーの話題に触れる事はなかった。
ヨメレンジャーなりの承認と解釈してよいだろう。
「試合に負けて勝負に勝つ」
私は初めてこの意味がわかったような気がする31歳の師走であった。